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ひろみ日記

海にまつわる物語(1)

カテゴリー:
  • 2017年02月18日

前回の記事 

そんな訳で、海辺での生活が始まった。

・・とは言っても、仕事も決まっておらず、

生まれも育ちも東京の私には、知人のひとりもいない。

26歳独身女性のこの状況、

「崖っぷち」といえなくもなかったが、

「何も考えないためにこの地へ来た」私は

それを忠実に守り、ある日訪ねて来てくれた

友人数名と、夜の街へ繰り出した。

 

鎌倉・小町

と、あるBarで、大いに盛り上がっていると

一人静かにグラスを傾ける男性が・・

DSC_0326_R

*実際はポロシャツか何か

 

「ん? 一人? この辺の方ですか~?」

酔うと図々しく、誰にでも話しかける私たち。

 

すると、傍にいた店主が

「この方、〇〇寺のお坊さんで、オサムちゃんって

いうんですよ。今はこんなにヘロヘロだけど、

ホントは立派な方なんだよ。」

常連で、気心が知れているのだろう。

おどける様な口調で紹介してくれた。

 

物腰が柔らかく、思慮深い目をしたオサムちゃん。

私たちはすぐに打ち解け、いろいろなおしゃべりに

花を咲かせた(物静かな彼が、私たちのくだらない冗談に

ニコニコと付き合ってくれていただけ・・とも言う。)

 

そんな彼が、突然大きな声を出して周りの話を

遮ったのは、私が

「最近、東京から来て、海のそばに住んでいる。」

と話した時だ。

 

「あのね~!いるんだよ~、そういう娘!!

いきなり何もかも投げ出して、都会から海へ来る娘!

業を背負ってるんだよな~。」

 

一同、しばしの沈黙・・

(今でいうところの地味に引く~)

 

私? それ私の事?」

「いやいや、ごめん。君の事じゃないよ。

僕が言ってるのは、例えば今ある仕事をやめて、

住んでいる部屋を引き払ってまで来ちゃうような子。

それも本当の海っぺりにね。」

 

ってそれ、まさしく私の事だよ~~

DSC_0327_R

(2)へ つづく

 

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