(2)からのつづきです。
皆と別れ、一人部屋に戻った私は
ぼんやりと窓の外を眺めながら、
彼の言葉を思い出していた。
「2,3年経つと、又転機が訪れる。
今いる家に住めなくなる様な
トラブルが起きた時が合図だよ。
その時は、どんなに未練があっても振り返ったらいけない。
きっぱりとそこを離れるんだ。
何故なら、垢落としの時間はどんなに長くても
3年と決まっていて、今、君の海はその役割を
果たしている。
それが終わったら旅立たなきゃいけないんだ。
自然界のルールっていうのかな。リズムに逆らうと
人生は暗く悲しいものになってしまう。」
「・・・やっとの思いでオアシスを見つけたのに。」
嘆く私に
「もし、戻って来たいと思うなら、君が本当の意味で
自分の足で立ち、幸せを掴んだ時だよ。」
彼は最後にこう告げた。
それから3年2ヶ月後(やや、垢落としに手こずった模様・・)
大家vs住民(全員!)トラブルが勃発し、
私はそのわずか数日後に部屋を出る事になる。
西暦が2000年に変わった3月某日、
人はこれを「平成・坊主予見の変」と呼んだ・・
親元に戻った私は、その直後に彼(今は主人)と出会い
超スピード「ビ・ビ・ビ婚」
横浜に部屋を借り、ほどなく長女を出産。
そして、子育ても一段落した2年後・・
私たち家族を迎え入れてくれたのは、
潮の香りを微かに感じる
葉山の山々に囲まれた今の家だ。
「帰ってきたよ」
完
(4)あとがきにつづく
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