この写真の道具は何でしょうか?
これは発明大好き少年だった私が老人になってもその発明心がくすぶっており、最近考案し大工仕事で作り上げたのが写真のような「新・水彩パレット」です。
水彩画のパレットと言えば黒い二つ折りのホーローをパカンと開いて、チューブからの絵具をその上に出して使う絵の道具で、今も昔のままの姿で使われています。
しかし絵を描き続けている私には、市販のパレットが非常に不満でした。
なぜなら、パレットがあまりにも小さ過ぎるからです。
理想を言えば、畳一条ほどの大きさのパレットなら、もっともっとイメージした色を表現できると思っていました。
そこで使い勝手のいいような大きさに白プラスチック板をカットし、色別に区分けした重層構造のパレット(上の写真)を開発したのですが、これはもうこのパレットがなければ絵が描けない!と思うほどすばらしいものになりました。
私は10年以上絵画教室の講師をしてきたのですが、ほとんどの生徒さんの苦手のひとつは彩色でした。
それではどうしたら彩色が上達するのでしょうか?
それはチューブからの原色をそのまま使用せず、いろいろな色をパレットで混色し、その濁った色を積極的に使うようにすればいいのです。
何故濁った色を塗れば、彩色が上達するのでしょうか?
まず原色は美しい色、濁色は汚い色という考えを捨てることです。
原色だけでなく、濁色も無彩色も、濃い色も淡い色もすべての色が美しと思い、そしてすべての色を好きになることが、彩色の上達の最大のポイントとなります。
もうひとつ大切なことは、絵の対象となる現実の風景のほとんどの色は濁色でできており、その現実を直視し、その上で濁色を使えば、絵にリアリテイと調和が生まれるからです。
私は絵を描き終わると、筆は洗いますがパレットの上の絵具はそのまま残します。
それはこれから描く絵にもその濁色を積極的に使うためで、新・水彩パレットにはこれまで描いた絵から生じた濁色の財産が累積されることになります。
だからパレットは大きくなければならない理由が、お分かりいただけたと思います。
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