振り返れば海外旅行はこれまで30回以上行っていますが、その中でも特にドジを踏んだ話をしようと思います。
その旅はイタリアの水の都ベネチアへの旅で、夕闇が迫るころ飛行機は到着し、そのままボートでベネチアの運河に乗り入れ、船がホテルに横付けされた時にはすでに夜のとばりが深く降りた頃でした。
元来早起きの私ですが、特に旅先では朝食前にホテルの周りを散策し、お化粧前の素の街を見ることこそ旅の醍醐味と言いますか楽しみのひとつにしていました。
ベネチアも例外ではなく、到着の次の朝まだ薄暗い時間にホテルを抜け出したのですが、そのホテルは小さくて民家のようでホテルの前に植えられた赤い花が印象的なのがベネチアの最初の光景でした。
ベネチアの街は感動するほど美しく、曲がりくねった細い石畳の道は素晴らしく、街の景観に見とれて歩いているうちに、ハッと気付き背筋が凍ってしまいました。
それは迷路のような街で、自分が完全に道に迷ってとまったことに気づいたことです。
そしておまけに、ホテルの名前が長ったらしく、覚える気もなかったことに気付づいたのです。
当然ながらイタリア語はチンプンカンプンですから、とにかく小さくて民家のようなホテルと、その前に植えられた赤い花の風景を探して、歩き続けるとしか方法はありませんでした。
ベネチアの街は水の都、車さえ入れなくぎっしりと家が立ち並んでおり、私は必死に迷路のような道を歩き続けました。
人一人通るのもやっとの細い道を進むと小さな広場があり、その中心に石像と水飲み場があり、また道を進むと由緒あると思われる教会があるように、迷子になったからこそベネチアの街の魅力を徹底的に体感できたのかもしれません。
そうして疲れ果ててぼんやり佇んでいたその目の前に、なんと・・・赤い花と民家のようなホテルがありました。
上のゴンドラのある絵は、
ベネチアの旅から帰ってすぐに、この街の印象を心を込めて描いたものです。
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